笹山登生の発言・寸感アラカルト


2002年4月7日 ニッチ産業育成への戦略

今日(4月7日) のNHKの日曜討論会で、愛知中小企業同友会代表理事の(株)エステム社長 鋤柄 修さんが、「そろそろ、日本国内で食える中小企業の育成を」との発言をされていたのが印象的だった。

席上、鋤柄さんは、ヨーロッパの例も持ち出されていたが、これは、SMEプロジェクトを中心とするニッチ産業への支援だろう。

これまで、「世界に羽ばたく日本の中小企業」とのおごった掛け声の基に、グローバリズムに伍そうと、背伸びしている内に、足元の地価は下がり、土地という中小企業の最大の与信基盤が崩れ、マーケットは、いつのまにか世界標準を武器とする海外企業に浸食されていった。

これらの苦い経験と、モノづくり全滅の危機感を、鋤柄さんは訴えたかったのだろう。

「規制緩和による新企業の起業化・ベンチャー支援」のみを金科玉条のごとく振り回す、大企業のお歴々には、分からない中小起業の危機である。

ベンチャーだのみの新産業創出では、そんなに簡単にいかないことを前提とし、いまある中小企業の資源をどう活かしていくかを、もっと国民的に考えていかなくてはならない。

そして、日本の中小企業は、高地価にささえられて今日があるという現実論を直視していかなくてはならない。

いまもとめられているのは、スモール・エンタープライズを核とした、ニッチ産業の振興である。

では、ニッチ産業をどう具体化していくか。

いま、「小さな大企業」を目指すための、いろんな動きがある。

そのひとつ、このURL: http://www.niche.tohoku.ac.jp/annai/ics.html は、東北大学のなかのニッチの技術的シーズ−種−を、煩わしい教官実務から開放し、産業化への糸口をみいださうとする動きだ。

そのほか、北海道でみるクラスター化の動きなど、ニッチ産業同士をネットワーク化する動きもある。

ここでひとつの具体例を見ていこう。

東京・町田市で、「町田をファッションの街に」と、主張されている市会議員吉田つとむさんさんがいる。

では、日本で、今、どんな街が「ファッションの街」と称され、または、自称されているのか。

類型的には、およそ、三つのタイプがある。

ひとつは、かつて「繊維の街」といわれた町の再活性化のためだ。。
具体的には、桐生市、浜松市、韓国の大邸、新村などだ。

もう一つは、ファッションのユーザーが多くたむろしている街だ。
具体的には、下北沢、吉祥寺、原宿、渋谷、三宮、自由が丘などだ。

さらにひとつは、デザイナーが多く棲息しているであろうと思われる街だ。
バリ、ミラノ、ニューヨーク、アントワープ、銀座、赤坂、青山、福岡、大連、上海などだ。

前述の町田市の吉田さんは、「町田市をユニバーサル・ファッションの町に」ということを言われている。

特に、お年寄りのファッションの町にということを考えられておられるようだ。

ユニバーサルファッションという言葉は、日本製の英語のようで、英語では、Adaptive Design または、Adaptive Fashion という。

URL: http://www.adaptivedesigns.com/photos.html や、URL: http://www.msconnection.org/links.htm#AdaptiveFashion にみるように、ここでは、お年寄りばかりでなく、標準体形と異なる方、または車椅子ファッションなどディスアビリティーの方など向けのファッションなど、概念が広いようだ。

また、Adaptive Designには、インテリアもはいるようで、これは、ユニバーサル・デザインの領域でもある。

このように、ニーズの面からつきつめていくと、、ニッチ産業は、次第に大きな広がりをもった、ニーズのネットワークの背景を持っていることに気づく。

また、ニッチの差別化の種類にも、、いろんな切り口がある。

これまで、日本は規制緩和一辺倒を唱えていれば、政治的役割は済んでいるような錯覚を、政治家はもっていた嫌いがあるが、もっと新しいパラダイムでの切り口が、この例のようにあるはずだ。

そのようなニューパラダイムに基づく起業化へのインセンティブのあり方を、政治は、考えなければいけない。



HOMEへ目次へ

HOME -オピニオン -政策提言 -発言- profile & open - 著書 - 政策行動-図書館-掲示板 -コラム- リンク- 政策まんが