笹山登生の発言・寸感アラカルト


2002年4月3日 デフレ下での現役世代と引退世代との間の所得分配について

3月30日の日経新聞30面に、国立社会保障人口問題研究室長の大石亜紀子さんが、標題のような興味深い分析をされていましたので、ご紹介します。

それによると、デフレ経済のもとで、現役世代と引退世代との所得分配に影響を与える要素として、次の3つがあるとしています。

第一は、引退世代は、多くの金融資産を有しているのに対し、現役世代は、住宅ローンを多く抱えている。結果、現役世代不利。

第二は、名目賃金は下方硬直的なので、デフレ下では、実質賃金上昇−労働需要減少−失業者増−失業コストは、現役世代負担。結果、現役世代不利。

第三は、公的年金の給付設計において、厚生年金の給付額決定の際、受給者の過去賃金と現役世代の手取り賃金との間の再評価に際し、参照される過去賃金とは、相対的に高賃金な厚生年金加入者の平均賃金となっている。−多数の非正規労働者や失業者の存在はカウントされない。−現役世代全体の所得がふえていないのに、引退世代の年金給付額は、ふえてしまい、現役世代にかかる保険料も増加。結果、現役世代不利。

以上から、デフレ下では、圧倒的に、現役世代は、不利。

この不均衡を解消するものとして、相続税と贈与税の減税が必要。

しかし、一方で、引退世代の3割は、100万以下の金融資産しか持っていない現状をみても、引退世代内部間の格差が広がりつつあるので、同時に、年金課税や資産課税、高所得者層への年金給付見直しなどの措置が必要になる。------との見解を、大石亜紀子さんは、示されています。


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