笹山登生の発言・寸感アラカルト


2001年11月16日 既存のパラダイムの経済政策論争でなく

 
内橋克人さんが、「浪費なき成長」という観点を打ち出されていますよね。

新書本も同名であります。

その内橋さんが、「テロ後の世界経済」について、「テロによって世界の構造があぶり出された。」といわれている。

世界の市場一元主義の矛盾が臨界点にたっしようとする寸前にテロがぼっ発したということでしょう。

その意味では、9月11日以後の世界経済は、新たなパラダイムの元での出発点に立たされているということなのでしょう。

新たな世界経済の出発とは、経済を構成する、消費-投資などの中身を新たなパラダイムのもとに、再編成・再構築するということなのでしょう。

消費-投資でいえば、「浪費なき成長」という言葉の様に、循環型経済社会の元での、高質化した消費−投資として、何を模索するかということでしょう。

公共事業にしても、すでに早くから私のホームページで提言しているように、高質化したインフラのあり方を考えなければならないし、高質化した消費ということであれば、消費者と生産者とが一体化したプロシューマーとしてのあり方を模索する必要が有るでしょう。

ですから、これからの経済政策は、単なる既存の項目の差し引き計算の遊びでは出てこない、新たなパラダイムの元での、予想もしなかった需要・供給の出現のための政策パラダイムの構築ということになるのでしよう。

いつか来た道の大量消費時代の再現を願っても、それは社会的コストが膨らむのみです。

高度成長時代の反省として、「衣食足りてゴミを知る。」であったとすれば、やはり、賢明な消費行動の保証がぜひとも必要ですね。

昔、後進地域開発論に、アンバランスド・グロース論とか、ビッグプッシュ論とかいうものがありました。

三すくみ・四すくみの今の日本経済にも、そのようなブレークスルーを切り開くシステムが必要なのでしょう。

縮小均衡型改革は、いくつかのすくみを生じさせます。

総理がいくら、ひるまず、すくまずといっても、この種の改革はすくみを伴うものであると思います。

今にも。寝たきりになんなんとしている日本経済を立ち上げさせるビッグプッシュの仕掛けは、いろいろな角度から検討されてしかるべきです。

先日、朝日新聞の「私の視点」欄で、早稲田大学アジア太平洋研究センター教授の小林英夫さんが「アジアから日本に生産基地を取り戻すにはどうしたら良いか。」について書かれた一文には、示唆されるが多かった。

小林さんのいわれるに、日本の産業空洞化を招いたのは、ほかならぬ、中国などに産業基地を求めた日本の企業行動の結果だというのである。

「盗人を捕らえてみればわが子なり」というわけである。

畢竟、日本の産業空洞化を招いたのは、お門違いの日本の産業インセンティブの的はずれぶりだったということになる。

小泉改革も、既存の利得をあぶり出し、締め付ける祝しよう均衡型改革の「氷のシナリオ」から、上記のような、新たなパラダイムの構築によって、知らず知らずのうちに経済構造の再編と換骨脱体が可能となる、大人の「火のシナリオ」へと転換されたら良いのに、と思う。http://www.morganstanley.co.jp/im/institutional/research/pdf/010403_Biggs.pdf参照


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