笹山登生の発言・寸感アラカルト


2001年1月23日 一歩前進した自然の権利代弁訴訟

(掲示板から)







1月22日の奄美の動物権利代弁訴訟など、このところ、人間が動物にかわって自然保護を主張する、いわゆる「自然の権利代弁訴訟」の判決があいついでいる。

自然の権利の憲法上の位置付けについては、私の「オピニオン-環境権を憲法論議に位置付けるために」 を参照していただくと有り難い。

今回の判決は、従来と同じく、「原告適格性-訴訟をおこした人が、はたしてその訴訟をおこす資格があるかどうか-に問題あり」、とした点、そして、「現行憲法上では、人間の自然享受権は認められがたい」とした点では、従来の司法の見解とかわらなかったものの、原告が、奄美などの自然を代弁しようとしたことの意義について、評価したのは、一歩前進であった。

司法の場においても、環境権の意義を認めざるを得ない時代の流れをかんじているようだ。

今の憲法では、人間が景観なり環境に異議を唱えるためには、地域住民が、景観・環境そのものに利益・権利を得ているという考え方ではなく、観光サービスなど、景観・環境などを利用し、経済行為をすることによって、利益(反射利益という)・権利を得ていなければならないという考え方にたっている。

ドイツが憲法に環境権を盛り込む際にも、人間中心主義をとるか、生命体中心主義をとるかで議論があったが、日本においても、単なる経済的反射利益に損失のあるケースのみに原告の資格を認める時代は、去ったようにおもわわれる。

自然享受権をみとめ、何も、無理に人間が動物の権利の代弁をするというような小細工をしなくとも、実質環境権がまもられうる方途を、司法も行政もそして政治も、考える時代に入ったようである




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