笹山登生の雑感&情報の日記

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2004年3月24日(水) アメリカの日本向け牛肉輸出再開に向けての、大きな二つの出来事

第一の話題は、http://msnbc.msn.com/id/4587520/  に見るように、昨日、USDAの Animal and Plant Health Inspection Service (APHIS)の責任者であるBobby Acord氏が、辞職したということだ。

辞職の表向きの理由は、病気の母親の介護のためということらしいが、根底には、これからのBSE検査方針をめぐってのUSDAとの意見の食い違いがあると見られる。

これまでにも、Bobby Acord氏は、USDAのBSEの検査方針の変更に対して、強硬に、従来どおりの検査方針の続行を主張してきただけに、今回の突然の辞職の裏には、膠着状態を見せているに日本への牛肉輸出再開問題について、この辞任を機に、何らかの方向展開を図ろうとのUSDAの意図が、かいま見られる。

第二の話題は、3月17日のロイター報道で、USDAのディヘブン(Ron DeHaven)首席獣医師が、業界提案の「日本向け牛肉の民間企業による全頭自主検査」について、「民間企業による自主検査は、輸出や市場開拓が目的だが、われわれはこの種の提案を受けており、現時点で結論は出ていないが、評価・検討中だ」と述べた事に対して、http://www.forbes.com/business/newswire/2004/03/23/rtr1309284.html  に見るとおり、昨日、Creekstone Farms Premium Beef が、USDAが、この提案を受け入れるかどうかについて、「非常に楽観的にとらえている。」と、コメントしたことだ。

これによると、Creekstoneの副社長のKevin Pentz氏によれば、ロイターに対し、「USDAとの交渉は、非常に早い速度で進んでおり、USDAの最終決断は、かなり早い機会にあるだろう。」と述べたという。

このCreekstoneのコメントにたいして、USDAのスポークスマンのAlisa Harrison氏は、「現在は、イエスともノーとも言える段階ではない。」としながらも、「検討中」との含みのあるコメントをしたという。

この業界提案の「日本向け牛肉の民間企業による全頭自主検査」をUSDAが受け入れる可能性は極めて高いと見られ、これによって、日本政府側の対応が固まれば、アメリカ牛肉の日本向け輸出再開は、大きく前進することになる。

ちなみに、日本の農林水産省の石原事務次官は、3月18日の記者会見で、全頭検査の主体が米政府でなくても、日米の民間業者が実施した検査を米政府が認証するなど一定の関与があれば、輸入再開を容認する考えを示したが、一方で、検査頭数の拡大については、まだ全頭検査とは開きがあるとして、輸入再開の材料にはならないと指摘している。

昨日のUSDAの Animal and Plant Health Inspection Service (APHIS)の責任者であるBobby Acord氏の辞職によって、USDAの今後の検査方針にも、日本側の意向に沿った柔軟性も期待できることになる。

そこで、USDAが3月15日に発表した第二弾のBSE検査方針の変更案に付いて、日本政府側の意向に沿って、さらに第三弾の変更をするとすれば、
(1)「危険度が高い牛」(生後30カ月以上で(1)歩行が困難な牛(2)中枢神経障害の兆候を示す牛(3)その他の症状を示す牛(4)死亡した牛)の検査対象を年間四十四万六千頭から、さらに増やすか、
または、
(2)正常な牛からの抽出検査頭数を年間二万頭から、さらに増やすか、
または、
(3)「危険度が高い牛」も「正常な牛」も、混ぜて、総検査頭数を増やすか、のいずれの措置をとらなければならなくなる。

BSE発見確率精度の向上という観点からいえば、アメリカの消費者団体であるパブリックシチズンが指摘しているように、第三番目の措置(「危険度が高い牛」も「正常な牛」も、混ぜて、総検査頭数を増やす)が有効に作用するものと思われる。

以下は私の私見であるが、この妥協案は、日本が振りかざした「全頭検査論」の落としどころとしては、絶妙なゾーンを狙った案でもあるので、日本政府としては、この際、多少のダブルスタンダードの嫌いはあっても、これを受け入れ、日本の牛肉市場の正常化につとめるのが先決と思っている。

http://www.sasayama.or.jp/akiary051/200402.html#20040212にも書いたように、もともと、国内牛肉と輸入牛肉とは、清浄国よりの輸入に関しては、全頭検査と、非全頭検査とでの、ダブルスタンダードなんですから。

さらにいえば、これを、非清浄国に及ぼすのが妥当なのか、あるいは、将来、非清浄国になりうる国にも適用するのが妥当なのかという議論に過ぎないのですから。

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