笹山登生の雑感&情報の日記

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2004年2月1日(日) インドネシアの鳥インフルエンザ隠蔽疑惑について-AM通信員Tim Palmer氏と上席獣医学研究者MATIN MALAWLA氏との一問一答

http://www.abc.net.au/am/content/2004/s1032103.htm の仮訳

Tim Palmer「昨年9月、インドネシアで、鶏が何千羽も死んだとき、あなたや、同僚の研究者達は、最悪の事態になることを恐れましたね。11月には、鳥が死んだのは、政府が言うようなニューカッスル病によるものではなく、H5N1ウィルスの鳥インフルエンザによるものであることが、海外の事例などから、確信的に言えるようになってきました。そのような結果を受けてのジャカルタ政府の反応は、期待されたようなものではありませんでした。」

MATIN MALAWLA「そのとき、インドネシア政府は、何もしませんでした。」

Tim Palmer「でも、インドネシア政府は、それが、鳥インフルエンザ、しかも、H5N1によるものと知って、政府は何をしたのでしょう。」

MATIN MALAWLA「政府は、その事態を理解しようとすらしませんでした。われわれの意見について、議論すらしようとしませんでした。鶏肉の輸出活動にのみ、専念したのです。」

Tim Palmer「鳥インフルエンザを封じ込めるには、もう遅いですか」

MATIN MALAWLA「今となっては、もう遅いです。」

Tim Palmer「インドネシアの農業大臣Bungaran Saragih氏は、昨日、カメラの前で、忙しく、鶏肉をがつがつ食べて、いかなることがあっても、インドネシア人は、鶏肉を食べ続けるよう、促したのです。今日になって、当の大臣は、これまでの5ヶ月間、鳥インフルエンザの発生を警告する報告を受け取りながら、それを葬っていたことについての説明責任を求められているのです。」

MATIN MALAWLA「これは、隠蔽ではありません。われわれ専門家の間でも、これを鳥インフルエンザとするかどうかについての論争があったのです。われわれは、これがH5N1であるとしましたが、他の専門家の間では、まだ、十分な証拠がないとしたのです。」

Tim Palmer「この2ヵ月半の間、近隣諸国や、インドネシア国民に対して、あなた方 科学者達が、これは、H5N1鳥インフルエンザであると、警告をしたほうがよかったのではありませんか。」

MATIN MALAWLA「この段階では、人間にとって致命的な状況ではありませんでした。」

Tim Palmer「アジアのどこでも致命的ではない、という意味ですか。」

MATIN MALAWLA「アジアについては知りませんが、少なくとも、インドネシアにおいてはという意味です。」

Tim Palmer「インドネシアでは、感染者がいないという大臣の抗弁については、この数日以内に、そうであるかどうか検査結果が、わかるでしょう。鳥インフルエンザが蔓延している農村地帯では、警告もない状態の中で、肺炎や鳥インフルエンザに似た症状で死ぬ人が、増えています。ですから、鳥インフルエンザで死んでも、見落されているケースが多いものと思われます。」

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2004年2月3日(火) 「鳥インフルエンザは、人から人にひろがるだろう。」とのUPIの記事

UPIの本日付記事 http://www.upi.com/view.cfm?StoryID=20040202-032855-2475rの仮訳です。

保健専門家は、2月2日月曜日、「現在東南アジアを中心として蔓延している鳥インフルエンザのウィルスが人から人へ伝染する可能性について、大きな関心をもっている。」と述べた。

このような発生は、大陸を横断し家禽に蔓延している新しいウィルスが、人間に適合し、世界的な疫病流行につながってしまうことになることを意味している。

「われわれは、将来がどうなるかについて、いまだ、はっきりしたことについて、知りうる状態にはない。なぜならば、いまだに、安全対策として殺処分されるべき鳥が、数百万羽といわずとも、数万羽は、いるからだ。」と、WHOのジュネーブのスポークスマンであるDick Thompson氏は、UPI紙記者にいった。

「その殺処分がなされるまで、そして、人間の鳥インフルエンザのケースが終焉するのを見届けるまで、我々は、本当には、安心できない。」ともいった。

先月ヴェトナムで最初に人間に浮上した新しい鳥インフルエンザ菌株は、ヴェトナムとタイで、10人の死をもたらすことにつながってしまった。

調査の初期の段階では、このウィルスは、それ以前から家禽に住み着いていたものであろうとの、調査結果であったが、しかし、これまでのところ、専門家は、それが、どこから発生したものかについて、正確に指摘することが出来ないでいる。

つい最近までは、すべての人間のケースでは、その人間が、H5N1のサブタイプである新らしい鳥インフルエンザに感染した鳥に、接触したところまで、さかのぼりえた。

WHOの当局者は、タイ・ヴェトナム地域では、感染した鳥に人間が接触したことを確認できない感染例が4つあったとしている。

そのケースのひとつが、ヴェトナムでの、二人の姉妹と、兄と兄嫁が、家族で、ともに感染した例である。

このことは、次のような結論を導き出しうることになる。

すなわち、「限られた関係や範囲の中における人から人への伝染がありうるということが、一つの解釈として成り立ちうる。」ということである。

このヴェトナムの家族の例では、回復した兄嫁を除いては、すべて死亡した。

アメリカのアトランタにあるCDCP(疾病管理予防センター)では、アジアに調査団を送り、この人から人への鳥インフルエンザウィルスの拡大の可能性について、より詳しく見たいといっている。

「我々が直ちに、答えを迫られているのは、このケースが人から人への伝染によるものであるかどうかについてである。」と、CDCのスポークスマンであるTomSkinner氏はいう。

「WHOから発表された鳥インフルエンザの人から人への伝染の可能性についてのレポートは、非常に正確なものではあるが、我々としては、このケースについて、より学ぶ必要がある。」と、彼はいった。

「ウィルスが鳥から人間へと種を飛び越え、人間に適合したウィルスになってしまうことを、我々はみんな恐れているので、このケースには、非常に関心があるのです。」と、アメリカ・バージニア州にあるthe Infectious Diseases Society of Americaの副所長であるMartinBlaster博士はいう。

「ウィルスを全滅しうる機会はあるが、それがなされたとしても、新しい変異ウィルスが出てくる。これは、まさにSARSの二の舞である。」と、ニューヨーク大学のBlaster氏はいう。

ヴェトナムの姉妹家族のケースが、人から人への伝染の真のケースであったとしても、専門家がいうには、これらの感染した家族が、ウィルスをつたえていなかったという、なんらかの事実をみいだしたといった。

「もっとも重要なポイントは、これらの家族が、他の人に病気を伝えていなかったということである。」とThompson氏はいう。

「我々が懸念していることは、人から人へ簡単に伝搬しうるウィルスの出現です。このヴェトナム家族のクラスターでは、そのようなことは起こらなかったことは、明らかです。」と、彼はいった。

新しい鳥インフルエンザは、鳥にとっては致死的であり、感染したほとんど百パーセントを死に至らしめる。

同時に、それは、人間にとっても、高い死亡率をもたらしうる。

これまでにも、感染がわかった13人のうち、9人を死に至らしめている。

鳥インフルエンザが、種の壁を越え、人間に感染したのは、今回が最初ではない。

最初に立証されている例としては、1997年の香港で起こった例であり、6人の死をもたらした。

それ以後、鳥インフルエンザは、香港や他の国で、数回人間に感染した。

したがって、世界の保健衛生機関は、このようなウィルスの広がりをコントロールすることと、防ぐことに、精通してきた。

最初にやるべきウィルス抑制方法は、感染したすべての家禽を殺すことであり、アジア中の農家は、すでに、何百万羽の家禽を、殺している。

しかし、この鳥インフルエンザの発生が、一気に、数カ国で発生してしまったために、当局は、最近の鳥インフルエンザの大発生を抑えられなくなっている。

これまでのところ、家禽に鳥インフルエンザウィルスがみつかっているのは、カンボジア、中国、インドネシア、日本、韓国、ラオス、タイ、ヴェトナム、そして、香港での一匹のハヤブサである。

「問題は、これまで、我々は、多くの国でいっせいに鳥インフルエンザが発生するという事態に直面したことがなかったということです。」と、Thompson氏はいう。

1997年の香港での鳥インフルエンザ発生の場合は、発生国が限られていたために、比較的に、制圧が簡単でした。」と、彼は付け加えた。

もう一つの問題は、今回の鳥インフルエンザ発生国が、いずれも、タイやカンボジアのように、貧困国であることだ。

「そのような国では、政府は、資源が限られているため、完全な鳥インフルエンザ対策を講じるのが難しい。」と彼はいう。

Thompson氏がいうに、これらの国は、養鶏農家に殺処分をさせるのに十分な奨励金の資金がないし、零細規模養鶏農家にとって見れば、これらの鶏なくして、生計を立てる道がないということだ。

WHOは、昨日、他の国に対して、補償支払い募金への金銭的支援協力を求める声明を発表した。

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2004年2月4日(水) 中国広東省の鳥インフルエンザ隠蔽疑惑

このサイト記事は、香港 The Standard紙 2月4日付の Dennis Chong 氏署名記事" Guandong 'hid deaths'"の仮訳です。


最近続いて発生している鳥インフルエンザ問題について、その発生の原因を調査した結果、広東省当局が、昨年10月に発生した鳥インフルエンザを隠蔽していた事実が明らかになってきた。

これによると、H5N1鳥インフルエンザは、昨年10月に広東省の中山市にある二つの大規模養鶏場で発生し、これら養鶏場の三分の一の家禽が死んだ。

さらに、この消息筋によると、病気の発生と、その隠蔽は、この二年間、中国のいたるところで繰り返されてきたという。

TheStandard紙の姉妹紙である「東方報」では、最近、華南農業大学の畢英佐教授の話として、2001年からH5N1鳥インフルエンザが、中国本土に見られ、広東・福建・広西・河北・山東・湖南各省では、繰り返し隠蔽工作が行われていたという。

これとは別の報道として、ハーバード大学のバイオ・エンジニアリング専門家の話として、近年、中国の各地方において、広範囲にわたって鳥インフルエンザが発生していたという苦情を裏付ける証言がある。

ハーバード大学メディカルスクールのバイオ・エンジニアリング・インストラクターのヘンリー・ニーマン(Henry Niman)氏は、遺伝子配列解析によれば、致死的ウィルスの新しい菌種が、この二-三年前から存在していたという。

ニーマン氏は、同時に、鳥インフルエンザ蔓延を阻止するためにアジア各国が行った殺処分についても、苦情を述べている。

これらの殺処分が、実際には、これまで養鶏農家が所有していた鶏を売り払ったり、他の国へ密輸することを促進する働きをしてしまったという。

しかし、WHOや、地方の研究家たちは、この殺処分命令が間違っていたと結論付けるのは、尚早だという。

ニーマン氏によれば、最近流行している鶏インフルエンザの菌種は、早くも2001年には、ヴェトナムのハノイで発見されていたという。

「2001年には、このウィルスは、ハノイの生鮮市場に存在していた。このウィルスの存在が、香港の鳥インフルエンザにつながった。」としている。

ニーマン氏は、アメリカに本拠を置く遺伝子バンクから、中国から金門島・台湾に渡ったウィルスのサンプルや、最近ヴェトナムで死んだ人から検出されたウィルスのサンプルを得ているという。

「一連のアヒルの密輸は、一連の病人の発生につながり、2001年に香港で発生した孤立症例にもつながっている。」と、ニューマン氏はいう。

「1997年香港で発生してた鳥インフルエンザの孤立症例は、最近流行のウィルスの孤立症例とは、異なるものである。だから、ウィルスは、この間において、ある重要な突然変異をするに十分な機会があったのだ。」とも、ニューマン氏はいう。

ニューマン氏は、もっと多くのサンプルがないと、確定的なことはいえないとしながらも、これらのサンプルは、共通の源を持っているように見えるとしている。

香港で6人死んだ鳥インフルエンザの大発生以来、これらウィルスは、時々、家禽の中から検出されてきた。

2001年7月には、1997年の大発生の原因となったH5N1の菌種が、長沙灣の家禽マーケットで死んだ14羽の便のサンプルから検出された。

そして、昨年2月、香港の家族二人が、福建省を訪れた後に、死亡した。

この香港で死亡したのは、娘と、その父であったが、その父にH5N1ウィルスが発見されたにもかかわらず、死んだ娘については、何の検査もないまま、埋葬された。

ニューマン氏がいうに、「これらのウィルスは、しばらくの間、低い検知されがたいレベルで、存在していたのだが、多くの人がSARS問題に忙しかったため、後回しにされてきた。」という。

鳥インフルエンザが、このように早く蔓延したことについて、ニューマン氏は、殺処分命令が、重要な役割を果たしているという。

「今回も、インドネシアで鶏が見当たらなくなっているという報告がある。農家の人たちは、鶏の殺処分をしても、販売価格の十分の一の補償しかもらえない。」として、広範囲にわたる密輸が鳥インフルエンザの大発生につながったことを示唆している。

しかし、鳥インフルエンザ撲滅のため、各国へ殺処分履行を要請したWHOは、「これは、憶測に過ぎない。」という。

WHOのスポークスマンであるPeterCordingleyさんは、「ニーマン氏は、どうして、このようなことをいえるのだろう。テレビでも見て知ったんだろうか。」という。

どうして、ウィルスが、三ヶ月もたたないうちに、少なくとも十カ国に蔓延するなど、このような驚くべき速さで蔓延したのかということについては、諸説がある。

ある人は、渡り鳥の飛行ルートが取りインフルエンザ汚染地域と一致するところから、渡り鳥が原因であるとする人もいる。

また。ある人は、感染した家禽の密輸が原因であるとする人もいる。

英国のTheTimesが、今週掲載したレポートによれば、中国本土では、何十人もの家畜卸商や鶏肉取り扱い業者たちが、家禽市場で、鳥に接触したあと、鳥インフルエンザで死亡したという。

地方紙などによれば、これらの事実については、WHOには報告されていないといわれ、また、中国本土メディアは、現状では、これらのいきさつについての報道を差し止められているといわれる。

これらの報道について、ニーマン氏は、「このような感染パターンは、確かに面倒なことであり、ウィルスは、現状では、中国で、人間や動物に広がっていると見なければなららない。」としている。

中国政府当局は、中国では、人間への鳥インフルエンザの感染例はないとしている。

ニーマン氏の調査によれば、中国の農家で、ワクチン接種が誤って使用されたことで、一見健康そうに見える鶏のなかに、ウイルスの発生と変異を可能としてしまったという。

しかし、香港大学のウィルス専門家であるLeoPoon氏によれば、ワクチンの誤った使われ方が、H5N1ウィルスの突然変異をひきおこしたとするに十分な証拠はないとしている。 

終わり


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2004年2月12日(木) 全頭検査条件の米国産牛肉輸入再開論の矛盾−日本の農水省は、まず、相対リスク管理と絶対リスク管理のダブルスタンダードの現状を認識すべし-

アメリカとの牛肉輸入再開協議が難航しているが、これは、もともと、日本が招いた、国内産牛肉と輸入牛肉とのリスク管理のダブル・スタンダードに起因した問題だ。

日本において、BSE発生時に、国産牛肉について、全頭方式という絶対リスク(相加リスクAdditive Risk)管理を採用しておきながら、輸入牛肉については、相対リスク(相乗リスクMultiplicative Risk)管理方式のままにしたという時点で、今、アメリカとの間に提起されている矛盾は発生しているというわけだ。

以後、日本の消費者は、同じ牛肉について、絶対リスク管理のもとで安全と称せられている牛肉と、相対リスク管理の下で、安全と称せられている牛肉とを、ダブル・スタンダードの元に食しているということになる。

現在BSEフリーとされているオーストラリア・ニュージーランドの牛肉の検査体制も、アメリカ・カナダと同じ、相対リスク管理にもとずく検査体制にある。

だから、リスク度においては、多少の与件の違いはあるにせよ、BSEが発生したアメリカ・カナダのリスク度と、BSEフリーのオーストラリア・ニュージーランドのリスク度は、相対リスク管理の下では、その数値は対して変わらないものと思われる。

もし、アメリカに対して、全頭検査方式を条件にして、輸入再開を確約するのであれば、そもそもの原点にさかのぼって、同じことを、オーストラリア・ニュージーランドに対しても、これまでにBSEが発生したしないにかかわらず、検査方式を全頭方式にすることを条件にしての輸入としなければならなくなるわけだ。

逆に言えば、もし、オーストラリア・ニュージーランドに対して、現行の相対リスク管理方式にもとずく検査体制の見直しを要求しないのならば、これまでBSEが発生したしないにかかわらず、相対リスク管理の下での安全性が確認されれば、アメリカ・カナダに対しても、輸入再開を認めてもよいことになる。

そうでなければ、日本の消費者は、ダブルスタンダードどころか、トリプルスタンダードの元での、安全と称せられる牛肉を食さなければならないことになる。

以上の論点を整理すると、次のようになる。

1.全頭検査は、絶対リスク管理において、完璧である。したがって、全頭検査による日本の牛肉は安全である。

2.オーストラリア・ニュージーランド・アメリカの検査は、相対リスク管理であり、確率精度次第で、安全でもあり、安全でもない。

3.BSE発生後のアメリカの牛肉は、リスク確率が多少は高くなるもの、それだけで、安全でないとはいえず、依然として、安全であるとも、安全でないともいえる。

4.したがって、BSE発生後に、アメリカに全頭検査を実施させても、オーストラリア・ニュージーランドの牛肉が、安全でもあり、安全でもないという状況には、変わりない限り、日本の輸入肉全般が安全とも安全でないともいえない状況には変化がない。

5.このようにみれば全頭検査をアメリカに要求するのであれば、オーストラリア・ニュージーランドにも、全頭検査を要求しなければ、国産肉の安全性と輸入肉の安全性についてのダブルスタンダードに加え、さらに、輸入肉相互間における安全性についてのダブルスタンダード状態が発生する。

6.もし、オーストラリア・ニュージーランドに対しても、全頭検査を要求しないのであれば、アメリカに全頭検査を実施させても、日本の消費者に対して、輸入肉が、ひとつのスタンダードに基づいての安全性如何を保証することにならない。

7.したがって、行政のとるべき選択肢は、輸入牛肉全般に対するリスク管理を、これまでの相対リスク管理から、絶対リスク管理にあらためるのか、それとも、これまでの、国産肉と輸入肉のリスク管理のダブルスタンダードをそのまま継続するのか、の、選択になる。

その選択の中においては、アメリカの検査体制の問題は、その中のひとつの問題に過ぎなくなる。

以上に見たように、その辺のそもそもの前提がないがしろにされて、議論が進められているうちは、真の日本の消費者にとってのリスク管理とは何かという問題を軽視したまま、より複雑で、錯綜したリスク管理方式が横行したもとでの、食生活が営まれてしまうことになるのだが。

なお、相対リスク管理と絶対リスク管理については、サイトhttp://www.jaeri.go.jp/dresa/dresa/term/br000120.htmをご参照。

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2004年2月23日(月) 米消費者団体パブリック・シチズンがUSDAのBSE対策を批判

米消費者団体パブリック・シチズン(Public Citizen- 1971年にRalph Naderによって創設)(代表 Joan Claybrook )は2004年2月19日、米農務省のBSE検査体制が不十分だと批判する書簡をベネマン農務長官に送付した。

以下は、その書簡"Letter to Agriculture Secretary Ann Veneman concerning false or misleading government reassurances on mad cow disease" の仮訳である。



BSE安全保証対策に関する政府の過ちならびにミスリードについてのベネマン農務長官への書簡



2004年2月19日

親愛なるベネマン農務長官

近時、アメリカにおいて発生のBSEについて、国民への対応の適格性を保証する試みを行うに際して、USDAは、いくつかの誤りやミスリードをおかした発言をしている。

これが、その証拠である。

●現在のサーベイランスシステムによっては、USDAがいっているような、「百万頭の牛の中に一頭のBSE感染牛がいても、検出しうる。」ということは、出来ない。

●歩行困難な牛、いわゆるダウナー・カウを、人間の食供給から取り除いても、人間にとってのリスクを大幅に減少させることにはならない。

●公衆衛生対策で提案している、機械で肉をそぎとるAMRシステムの制限は、実際には、表示規制を変えるに過ぎないものである。

その結果、若い牛からの脊髄は、なお、牛のストックや、抽出物、調味料に含まれ続けることになる。


BSEサーベイランスについて



USDAのウェブサイトで、サーベイランスについて書かれていることにもとずくと、当局のサーベイランスシステムは、たとえ、百万頭の成牛の中で、一頭のBSE感染牛が存在していても、それを検出しうるレベルにあるとされている。

このことは、ワシントンでのアメリカ初のBSE発生以後、何度となく、当局から繰り返され続けてきた。

この主張は、USDAのウェブサイトにも書かれているように、ヨーロッパの検査データによって、反論されているとおり、誤った仮定にもとづくものである。

確かに、BSEのリスクは、ダウナーでない牛よりも、ダウナーの牛のほうが高い。

このことは、USDAのBSEサーベイランスプログラムが、特に、これまでのところ、ダウナーの牛に重点を置き、対策をしている根拠である。

しかし、USDAは、これにとどまらず、アメリカに存在するすべてのBSE感染牛が、ダウナー牛の中で発生しているものと推測してしまっている。

実際、EU委員会のデータでは、2002年には、287頭もの普通に見える牛がBSE陽性の判定を受けている。

一方、ヨーロッパにおいて、陽性判定されたダウナーでない牛についてみると、ダウナー牛の群れよりも、予測どおりに、陽性判定率は、低いものであった。

同様のことは、アメリカ国内においても、いえる。

USDAのサーベイランスについてのウェブサイトを見ると、アメリカにおいて、ダウナーでない牛の数は、ダウナーの牛の数の230倍であるとされる。

すなわち、四千五百万頭の成牛のうち、ダウナーの牛は、十九万五千頭であるとされる。

このように、もし、ダウナーでない牛の中におけるBSE感染のリスクに比して、ダウナーの牛の中におけるBSE感染のリスクが、あんまり高くない場合には、実際には、ダウナーの牛の中におけるBSEの牛の実数よりも、ダウナーでない牛の中におけるBSEの牛の実数のほうが、多いということになる。

たとえていえば、赤い色のスポーツカーに乗っているドライバーの方が、他の色の車に乗っているドライバーよりも、事故にあうリスクが大きいといっても、実際の、多くの事故は、赤い色のスポーツカーでの事故ではないのである。

以下の付表は、この点について、示したものである。






















USDAの、ダウナーである牛とダウナーでない牛のデータをもとにして、われわれは、ダウナーの牛に存在する総合的なBSEリスクが、ダウナーでない牛に対して、ダウナーの牛が、何倍リスクが高いのかによって、全体のBSEリスクがどう変わるか、そのカーブを描いてみた。

たとえば、もし、ダウナーの牛がダウナーでない牛よりも、500倍リスクが高いものとした場合、ダウナーの牛のなかから、BSEの牛を、69パーセント検出できる。

したがって、この場合においては、ダウナーの牛を排除する政策は、大きなインパクトを持ちうる。

一方、もし、ダウナーの牛が、ダウナーでない牛に比して、5倍しかリスキーでないとした場合、ダウナーの牛の中から、たった、2パーセントのBSE感染牛しか、検出できないことになる。

ヨーロッパで、牛の年齢にかかわらず調査した実際の検査データでは、上記の後者の例に近い結果が出ている。

ヨーロッパでは、アメリカでダウナーと称される牛に類似した牛は、ダウナーでない牛よりも、31倍リスキーであった。

この数値をアメリカにあてはめてみると、USDAが採用している「ダウナーでない牛は、リスクがないし、それゆえ、その比率は、極大である。」という仮説とはことなり、むしろ、上記の表のなかで矢印で示しているように、ダウナーの牛の中で、たった12パーセントしか、BSE感染牛は検出されえないということになった。

そして、残った88パーセントの正常に見える牛は、現状、アメリカでは、何の検査も受けることはないのである。

この考察は、二つの重要な意味を含んでいる。

第一は、現在の検査体制では、百万頭の中の一頭のBSE感染牛をも検出できるとするUSDAの主張は誤りであり、二度と繰り返して主張されるべき言葉ではないということである。

偽りなく、百万頭の中の一頭のBSE感染牛を検出できるためには、ダウナーの牛も、ダウナーでない牛も、混ぜて検査をしなければならないであろう。

これらの数字は、恐るべきものである。

正常に見える牛について、五万頭の検査を行い、そのすべてが陰性であったというシナリオにおいて、この検査の信頼度が95パーセントのものであったとして、この検査によってわかるのは、百万頭あたり、(USDAのいう一頭ではなく)60頭以上には、BSE感染牛はいないことがわかるということである。

(訳者注−百万頭のなかにBSE感染牛が59頭までいても、検出不能という意味)

もし、この割合を、アメリカで毎年と畜される三千五百七十万頭のうち、世界で標準に検査される生後20ヶ月以上の牛 12パーセントに適用するとするならば、毎年、257頭ものBSE感染牛が、何の検査も経ずして、市場に出荷されるのである。

(訳者注- 60÷1,000,000=0.00006 0.00006×35,700,000=2,142 2,142×0.12=257)

USDAは、アメリカの市民に対して、このようなリスクがあることについて、率直に伝えるべきである。

USDAのサーベイランスプログラムが、食品供給の安全性を守ることに、直接にはなっていないということを、ここで、思い起こすことは、重要なことである。

すなわち、多くの牛がBSE検査を受けないで食品供給の中に入ってきている事実を、絶えず、実地において、見逃さないということである。

サーベイランスプログラムは、BSE感染牛が食の供給の中に入ることを防ぐというよりは、むしろ、感染拡大を監視するという役割を果たしているのである。

BSEのリスクを完全に減じるためには、すべての牛か、または、少なくとも、生後20-30ヶ月の全頭牛についての検査をする必要がある。

妥当なやり方は、BSEの蔓延をコントロールするために、「すべてのダウナーの牛」と、「ダウナーでない牛であって老齢の牛」についての検査をすることである。

このやり方は、近時、USDAの国際小委員会(Transmissible Spongiform Encephalopathies Advisory Committee)でのFDAによる提言 や、New England Journal of Medicineの社説(Donnelly CA. Bovine spongiform encephalopathy in the United States – an epidemiologist’s view.) にあるものと一致している。

第二に重要な意味を持つのは、人間の食消費のルートからダウナーの牛を取り除くことは、それがよりリスキーな動物である以上、理にかなっていることではあるが、この手法によっては、国民全体のこうむるリスクを、わずかに減少させるに過ぎない。

なぜなら、ダウナーの牛には、たった12パーセントのリスクしかないからだ。

人間の食の消費から、ダウナーの牛を取り除くメリットは、公衆衛生保護対策としては、過大評価である。

FDAによる強い飼料規制や危険部位の人間消費からの取り除きを行っても、BSE対策としては、初歩的な防衛策に終わっているのである。

これらの制度設計と、リスクコミュニケーション問題に加えて、USDAは、サーベイランス管理の弱体化に悩まされてきた。

2001年に、われわれは、アメリカ各州でのBSE検査率の実態を比較調査してみた。

おおよそ、各州同様の検査率と、当初見ていたのだが、われわれは、調査してみて、各州の最高最低の検査率に、400から2000倍の差があることを知らされた。

このことは、このサーベイランスプログラムが、混乱状態にあることを示している。

どの動物を検査するのかを決定する手続きが何もなく、このことは、今回のワシントンでのBSEのケースにおいても、それが、本当にダウナーの牛であったのかどうかについての疑念につながっている。

それにも増して、あるUSDAの検査員が証言したように、と畜会社自体が、検査する牛の脳を選んでいたという事実もある。

今回のワシントンのケースで、図らずも、アメリカのトレース能力の大きな力不足を思い知らされた。

今回発見のアメリカ初BSE感染牛と同じ群れにいた81頭のうち、たった29頭しか、いまだにトレースできていないのである。

牛の終生にわたる包括的な追跡調査体制が、一日も早く確立されるようにしなければならない。

しかし、現状では、ダウナーの牛が人間の消費ルートから取り除かれた結果、農家は、疑わしい牛については、USDAに知らせることなく、農場内に埋めてしまうことになる。

したがって、農場経営者は、自らのダウナーの牛を検査にまわした場合には、補償金が得られるシステムが必要であり、また、農場でサーベイランスシステムが行われた時、農家が検査を回避しようとした場合には、重いペナルティを課すことが必要である。

最近、イタリアにおいて、正常に見える牛が、明らかに新種のBSEに感染していたという事実が発見され、通常の検査では検査を回避できた例が発生したが、このことは、アメリカにおいても、今ヨーロッパでひろく行われているような、より敏感で、急速に検査結果の出る検査方式を承認する必要性が強調されたことになる。


肉処理



ここ数年、消費者団体は、アメリカにおける肉処理システムについて、批判を強めてきた。

すなわち、一定の慣行が、BSEの原因となっているということである。

これら団体の関心は、機械的に分離された牛肉に集中した。

筋肉の付いた骨は、押しつぶされ、押し出し機を通じて押し出され、ペーストとなる。

そして、AMRは、ベルトと骨プレスを使って、骨から肉をそぎとっていくものである。

これらの両方とも、死骸から肉片の最後まで、そぎとることを目的としたものである。

これらの処理物を使って、ハンバーガーやホットドッグを作るのが通常である。

不幸なことに、ワシントンでBSEが発生したことで、これらについての対応を余儀なくされた。

空気スタンガンは、神経組織を撒き散らすということで、消費者団体から、その使用を非難されてきた。

そして、関連業界は、それらを大量に放棄した。

また、小腸を消費することは、まったくされなくなってきたし、生後30ヶ月を超える脳や脊髄についても、同様である。

さらに、機械的に分離された牛肉についても、あらゆる年齢のものについての使用が禁止された。

これらの変更は、歓迎されるべきものであるが、しかし、それにインパクトがあるかどうかについては、過大評価してはいけない。

まず、BSEの感染行動は、実験的には、生後32ヶ月の牛の神経組織についてのものであるが、たつた30例の動物実験によるものであるという限界がある。

脊髄が伝染経路であり、AMRの脊髄による汚染は、確認されている。

2002年のUSDAの調査によれば、調査サンプルの35パーセントが汚染されていたという。

これについては、あらゆる年齢の牛について、脊柱の扱いについて、もっと簡単に取り除ける技術を使った安全策が講じられるべきである。

より基本的には、USDAは、AMRの問題を、少なくとも、生後30ヶ月以上の牛について、実際は、ラベル表示の問題として扱われているのに、それを食品の安全性の問題として、AMR問題を提起しているところに問題がある。

このように、脊髄によって汚染されたAMRが単なるブランドのミスとされることで、それは、肉と指定されて運ぶことが出来ないという意味となっている。

脊髄を「肉」としてあるいは、余りありそうもないが「脊髄」として表示されるのを妨げうる何者も、そこにはないのである。

第二に、アメリカでは、生後30ヶ月未満の牛に関していえば、なお、加工しない脳や脊髄を食べることが出来る道が残されている。

これらの製品は、ある特定の地域や民族の珍味とされているものである。

これらについても、それらが牛の伝染物のほとんど90パーセント近くであることから、人間の食経路から脳や脊髄を取り除くことを、真剣に考える必要に迫られている。

少なくとも、脳や脊髄については、これには、BSEのリスクが伴うことを明確に警告した、良くわかるラベル表示をすべきである。

BSE対策として、USDAは、農業部門に対して、促進策と、調整策との両方を課している。

この公的宣言の中では、後者の調整策よりも、前者の促進策のほうに、力点が置かれているようである。

USDAが、これまで、繰り返し、主張し、説明してきた内容とはことなり、ワシントンのBSE感染牛は、おそらく、ダウナーの牛ではなかったと、いわれている。

もし、そうであるなら、サーベイランス・システムの有効性は、より有効であると主張しうる。

サーベイランス・システムは、百万頭の牛の中から、一頭のBSE感染牛を見つけることは出来ないし、人間の食供給からダウナーの牛を取り除くことが、食供給の安全性確保には、少ししか寄与しない。

また、脊髄は、今なお、牛肉として消費されている。

もし、アメリカの牛や牛製品を輸入する、公の、または、潜在的な輸入業者から、再び信頼されるためには、これまで、USDAが発信した情報の多くの部分がそうであったような、間違った、そしてミスリードした情報にもとずくものであるよりは、正確で科学的な情報にもとずくものによるしかないであろう。   敬具

Peter Lurie, MD, MPH
Deputy Director

Sidney M. Wolfe, MD
Director
Public Citizen’s Health Research Group

参考−
上記書簡とは関係ありませんが、AMRの構造がわかる写真がありますので、以下に掲載します。http://www.wired.com/news/images/0,2334,61847-10438,00.htmlより引用

図の説明-
AMRシステムは、と畜処理後、なお死骸に付着しているいかなる肉をも、押し出すために、骨を絞るシステムです。

図左側にある油圧式圧縮室にあうように、骨は、6インチの長さにカットされます。

ここで、これらの塊は、図中央にある二つの回転シリンダーの間で、プレスされます。

一つのシリンダーは、篩(ふるい)のようなものを通して、肉を圧縮し、骨と結合組織とを、分離します。

それから、肉は、図右側にあるような、よりキメの細かいフィルターを通して、残っている骨や軟骨のすべてを取り除きます。

こうして、再生された肉は、通常、ソーセージやホットドッグ、タコスのトッピングなどの加工肉製品に添加されます。
























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2004年2月28日(土) エコツーリズムによるメソポタミア湿原の共生的復元を

イラク戦争と日本とのかかわりあいで、唯一、救いとなったのは、今回の公明党の浜四津敏子代表代行のイラクのメソポタミア湿原視察で、小泉首相が、この湿原の復元に意欲を示したことだ。

その意味で、今回の浜四津さんのイラク訪問は、大きな意味を持ったと、私は思う。

なんといつても、日本の政党を代表とする方が、このような視察をされたことは、喜ばしい限りだ。

メソポタミア湿原は、イランとイラクにまたがる二万平方キロメートルに渡る広大なものだ。

下記写真は、人工衛星から見た、湿原だが、1973−1976年と2000年との湿原の状況を比較対照したものだ。

ここには、人間の血管のように、現在の湿原を取り巻く状況が映し出されている。

http://earthobservatory.nasa.gov/Newsroom/NewImages/images.php3?img_id=5112
http://earthobservatory.nasa.gov/Newsroom/NewImages/Images/landsat_mesopotamia_1990.jpeg より引用

この湿原は70年代には四国より一回り広い面積があったが、旧フセイン政権時代の干拓などで乾燥が進み、4%ほどまで縮小している。

赤黒々と見えている部分が湿原で、当初は、牛の舌ほどのものだったのが、いまや、人間の舌程度の大きさになってしまった。

日本政府はイラクの復興支援策の一環として、このメソポタミア湿原復元に協力することを決めたものだ。

このきっかけは、昨年12月3日に来日した、イラクの部族代表アブドル・アミール・アル・リカービ(Abdul Amir al-Rikabi )氏と、小泉総理との会談の中で、アブドル・アミール・アル・リカービ氏から「アフワール地域」(Al Ahwar アラビア語で、メソポタミア湿原地域のこと) の再生へ支援を要請提案されたことをきっかけにしてのものであり、傾聴に値すべきものであった。

ただ、この2月に入って、やや、同氏をめぐっての世間の風向きがかわってきつつある。

アブドル・アミール・アル・リカービ氏が、この小泉総理との会談において、七千五百万ユーロ、または、九千四百万ドル、または、百億円の資金提供を、イラク派遣の自衛隊基地保安要員費として提供することを約束したとの、ややスキャンダルめいたthe Qatar News Agencyの報道が、2004年1月26日に、あったからである。

同氏は、これを否定し、翌々日の1月28日付けで小泉総理に出した書簡を公開し、このなかでアブドル・アミール・アル・リカービ氏は、「小泉総理と話し合ったのは、第一は、友好と協力をベースにした、アメリカ人では出来ない、イラクへの協力の仕方について、第二は、メソポタミア湿原再生についての、この二つだけだった。」「この二つの問題については、イラクの独立性を重んじた会議を構成する形で、イラク人の権利をサポートする。」「私と小泉総理との間では、資金的な問題は、まったく触れていないし、私は、あなた−小泉総理−から、これまでにも、または、会談の後にも、一銭も受け取っていない。また、自衛隊を保護することを保証するなどとは言っていないし、この問題に言及もしなかった。」「昨日のthe Qatar News Agencyの記事は、この新聞社独自のソースのものでは、あろうが、もし、これらのニュースソースが日本の官邸筋からのもの-from a source in your office-であるとするなら、この誤報によって、私やあなた-小泉総理-に与えられた図り知れない政治的ダメージの責任は、ニュースソースを出したあなた方にある。それに対して、私は、訴訟をも辞さない決意を固めた。」として、躍起になって、その火消しに、これつとめているようである。
(これについては、http://www.risq.org/article279.htmlや、http://washingtontimes.com/upi-breaking/20040127-093259-5304r.htm参照)

(追記--なお、HP「中東経済を解剖する」特設コーナー「外電の目」において、3月5日付のデンマークのネット新聞、イラク・フォー・オール の伝えるところによれば、日本の外務省が、3月2日付で、アブドル・アミール・アル・リカービ氏に対して、次のような返書を出したことを伝えている。

「親愛なるリカービさんへ 私はこの手紙を、カタール通信のレポートの件に対してのあなたの憂慮を表明された、あなたから(小泉)首相に宛てた2004年1月27日付の貴信が外務大臣から私に廻ってきたことをお伝えするために書きます。
この機会に、首相官邸、或いは日本政府の誰も、カタール通信が伝えたような陳述をしていないことをお伝えしたいと思います。
報道されたレポートは全くの誤りで、真実の逆です。
我々はあなたと首相の会見の録音を保有しています。
そこにはカタール通信のレポートを立証するものは何もありません。
逆に、我々は、この会見が、特にイラクの湿原が抱える諸問題に関心を喚起した点で、有意義であったことを知りました。
我々は現在、この件に関心を寄せてくれた諸外国政府や国際機関、非政府組織の助言を受け、進めています。」)

これらについての日本の報道が、これこれなどのごく一部をのぞいて、まったくないというのも、おみごとというしかないが、これらのいきさつに不純性があったかどうかは別にして、メソポタミア湿原再生の推進自体については、だれしも、異論のないところだろう。

もっとも、このメソポタミア湿原再生プロジェクトは、すでに2001年から、アメリカサイドで、the Eden Again Projectとして、アメリカ在住のイラク人Azzam Alwash氏 などを中心として、進んでいる。

the Eden Again Projectについては、http://www.sit-on-topkayaking.com/Articles/NatureIssues/EDENAGAIN.htmも、ご参照。

また、国連サイドでは、国連環境計画(The United Nations Environment Programme (UNEP))として、The Mesopotamian Marshlands: Demise of an Ecosystemのレポートや、‘GARDEN OF EDEN’ IN SOUTHERN IRAQ LIKELY TO DISAPPEAR COMPLETELY IN FIVE YEARS UNLESS URGENT ACTION TAKENの声明などで、常に、その重要性を喚起して来た。 

すなわち、日本側の、いわば今回の思いつき的協力に至る前に、すでに、アメリカ・国連ベースで、枠組みは作られているのだ。

遅ればせながら駆けつけた日本側の課題は、これら既設のプロジェクトと、どう協調していくのかが問われているということだ。

ただ、ここでわれわれ日本人が注意すべきは、イラク側の思惑としては、単なる湿原復元なのか、それとも、この湿原をベースにした、エコツーリズムの振興によるツーリズム換金回路の整備なのかということだ。

私は、後者の方のニーズが強いのではないかと思う。

もちろん、第一段階は、湿原での危険汚染物質の除去だろうが、これとても、大変な事業である。

しかし、この湿原の問題は、すなわち、この湿原を生活の根拠にしているMarsh Arabsと呼ばれている民の生活保障である。

このあたりは、聖書の「エデンの園」であったとも伝えられ、別名「水のあるエデン」(Watering Eden)ともいわれている。

その湿地帯の風土と共生してきたのがマーシュ・アラブ族(Marsh Arabs)である。

これについてはhttp://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/cairo/story/89.html をご参照。

そこを勘違いすると、あまりイラクの人には歓迎されない援助になってしまう。

サイトhttp://www.dai.com/dai_news/iraq_marshlands.htmや http://www.csmonitor.com/2003/0327/p14s01-sten.htmlhttp://usinfo.state.gov/regional/nea/iraq/text2003/0327marshes.htmhttp://www.seas.upenn.edu/~istar/pubs/Christian%20Science%20Monitor%20-%20Iraq.pdfhttp://www.communitiesbychoice.org/printme.cfm?ID=1194&print=1にも、結論として、Marsh Arabsの人々に歓迎されるのは、この湿原の復元と存在を戦略的に活用しうるエコツーリズムシステムの構築であると結んでいる。

私としては、もし、日本が遅れはぜながらの協力体制を生かすとすれば、このエコツーリズムの手法によるメソポタミア湿原の共生的復元に、援助の重点を絞ることではないと思っている。
















































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2004年2月29日(日) 農林水産省「高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアル」の問題点

京都府は2月29日未明、高病原性鳥インフルエンザウイルスの確定を受けて同日朝、家畜伝染病予防法に基づき、浅田農産船井農場に対し、生きている鶏約13万羽の殺処分命令を出す方針を発表した。

既に死んだ7万羽近くと合わせて埋設処分することになる。

しかし、京都府が京都府丹波町の養鶏場「浅田農産船井農場」を実態調査したのは、2月19日、府南丹家畜保健衛生所の獣医師が実態調査に出向き、鶏舎には入らず、事務所で現場責任者と面談し「異常なし」との回答を得て引き上げたという。

養鶏場の言葉をまともに信じれば、「翌日から鳥が死にはじめ、20日に約1000羽、26日かけて計約1万羽が死んだ。」という。(左記表は京都新聞より引用)

現場に10棟ある鶏舎のうち2棟で集中して死んでいたという。

一部の報道によれば、2月23日、浅田農場はアリノベに対し、全農場の鳥20万羽の処理を要求し、アリノベ側も、この時点では、同意したという。

2月25−26日、兵庫県八千代町の鶏肉処理業者の「アリノベ」が鶏を仕入れる際、10棟ある鶏舎のうち、既に大量死が目立っていた棟から鶏を持っていくよう浅田農産側に指示されていたという。

「アリノベ」に出荷された鶏のうち約60羽が、京都市の卸業者を通じ、同市と滋賀県草津市、大阪府摂津市、兵庫県伊丹市の4市に流通し、一部が飲食店でスープなどに利用されていた。

兵庫県は、2月25日、「アリノベ」に、定例の情報確認をおこなっていたが、この時点では、事態は確認されていなかった。

そして、2月26日夜七時半、匿名の電話通報を受けて、京都府は、2月27日未明、立ち入り検査に入り、京都府南丹家畜保健衛生所と中央家畜保健衛生所で2月27日、簡易キットによる検査を行い、インフルエンザの陽性反応を検出、これを受け、独立行政法人・動物衛生研究所(茨城県つくば市)で2月28日夜、京都府から届いたウイルスを鑑定した結果、「H5亜型」のA型インフルエンザウイルスが検出され、高病原性鳥インフルエンザと最終確認し、本日2月29日、ようやく、殺処分決定に至った。

同農場での鳥インフルエンザ発生から、京都府の殺処分命令にいたるまで、10日間のブランクがあるという、発展途上国の対応にも、遅れをとる、お粗末ぶりである。

これまでは、タイ・インドネシアの隠蔽(Cover-Up)騒動を笑ってみていたが、そうもいかなくなったようだ。

経営者の責任は、もとより、このようなずさんで、業者馴れ合いの検査体制を敷いている知事をはじめとする京都府当局の責任も、この際問われるべきである。

しかし、それ以前に、農林水産省の現行の鳥インフルエンザ管理体制についても、下記に記すような問題点がいろいろ、浮かび上がってくる。

いろいろあるが、その中でも、早急に改めるべきは、「高病原性」(HPAI)と確定するまでに時間がかかり、その間の対応が遅れ、更なる病気の蔓延を防げないでいる現状の改善である。

現行の農林水産省>「高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアル」ならびに、家畜伝染病予防法の問題点を整理すると、次のようになる。

1.県畜産主務課及び家畜保健衛生所が行うモニタリング・プログラムの内容は、「地域の実態にあった」という名目で、県任せ


検査対象(家きん飼養農場)・農場抽出1 農場/各都道府県・農場内抽出10 羽/農場
検査時期1 回/1 〜2 か月(可能な限り毎月実施する)。
検査週齢6 週齢以上
とあるが、今回の京都の例では、どうだったのか。
「地域の実態」を重んじるあまり、業者を刺激しない形での、業者との馴れ合いの検査体制を生み出してはいなかったのか。

2.モニタリングの報告が、形骸化


県畜産主務課は、毎月20 日までに前月のモニタリングの状況を別記様式1 により
衛生管理課に電子メールにて報告するとなっているが、今回の京都の例では、発生の前日19日に、鶏舎への立ち入りなし、実地検査もせずに、異常なしと報告。

3.家畜保健衛生所における病性鑑定から、殺処分決定に至るまでのタイムラグをなくせ


「検査実施前の3 日間の家きん群の死亡率が10 %以上(以下「一定以上の死亡率」という)であることが確認され、臨床症状等から本病の発生が疑われる農場においては、移動の自粛を要請した上で、直ちに臨床症状を呈する家きん及び死亡家きんを対象に病性鑑定を実施する。」とあるが、「検査実施前の3 日間の家きん群の死亡率が10 %以上」だけの分類規定では、異常緊急事態に対応できない。

日本の家畜伝染病予防法においては、3日間で死亡率10%以上、AI分離陽性の場合はHPAI(高病原性鳥インフルエンザ)の患蓄とし、10%以下の死亡率の場合は、亜型を調べ、H5、H7であれば、HPAI(高病原性鳥インフルエンザ)の患蓄とするとしている。

上記マニュアルは、この定義にそって、まず、死亡率を確認し、それから、H5、H7如何を確認すると言う手順になっているものと思われる。

しかし、これでは、今回のような異常事態には、到底対応できない。

今回の例のように、「浅田農産船井農場」の総羽数20万羽に対しては、2月22日から、兵庫県八千代町の鶏肉処理業者「アリノベ」へ出荷する前日の2月24日までの三日間の死数が、上記表によれば、6,524羽であるから、総羽数の10パーセントには至らなくとも、一鶏舎あたり飼養羽数としては、二万羽近くあったわけだから、そのなかの二鶏舎を中心にして、一鶏舎あたり約三千二百五十羽の死数、ということであれば、一鶏舎あたりの死亡率は、15パーセントを超える数値となっていたはずであり、2月24日の時点で、当然、異常事態と判断できたはずである。

となれば、鶏肉処理業者「アリノベ」への出荷は、まさしく、鳥インフルエンザの蔓延を知っての上での行為だと断定されても仕方がないのではなかろうか。

このことからみても、農林水産省の規定する「一定以上の死亡率」という概念は、OIE基準に沿っているとはいえ、あまりにも、杓子定規なラインであり、この、「一定以上の死亡率」の概念は、同一鶏舎内での死亡率が高い場合にも、適用可能なように改めるべきである。

また、このような緊急異常事態に対して、超法規的な対応が可能なようにすべきである。

4.「一定以上の死亡率」があった場合には、H5、H7の亜型確定前に殺処分命令ができるようにすべき


第17条では、鳥インフルエンザに関していえば、「高病原性鳥インフルエンザの患畜・疑似患畜についての殺処分を、都道府県知事は命じることができ」、また、「命令をすることができない場合において緊急の必要があるときは、都道府県知事は、家畜防疫員に当該家畜を殺させることができる。」となっているが、「10%以下の死亡率」の場合はともかく、「3日間で死亡率10%以上、AI分離陽性」の場合はHPAIの患蓄となりうるのだから、H5、H7の亜型を調べずとも、3での定義にもとづく「一定以上の死亡率」があった場合には、ただちに、殺処分命令を出せるようにすべきである。

5.自主淘汰も含めた殺処分への総合的な補償措置が必要


農場経営者への自主淘汰へのインセンティブがないままでは、病原が蔓延すればするほど、第58条の手当金の対象となり、結果、殺処分への費用負担が軽減されてしまうという、逆バネのインセンティブが働いてしまうということ自体は避けなければならない。

現在、BSE後、畜産などについては、民間ベースで、海外悪性伝染病防疫互助事業などの名で、「淘汰互助金」として、法に基づく手当金や家畜共済金がえられる発生農場の患畜・疑似患畜以外を対象として、移動制限地域内で家畜防疫員の指導等により家畜の自主淘汰をしたときに、出される互助金制度をしいているところもある。

自主淘汰も含めた殺処分への総合的な補償措置が十分であれば、養鶏場における発症時の早期公表の引き金となることを考えれば、補償基金造成などによって、殺処分後の経営再建資金までをも考慮に入れた、何らかの措置が必要と思われる。

なお、ニワトリを殺処分する場合は、第58条の手当金算定にあたって、農水省が被害額を評価するのであるが、患畜・疑似患畜の羽数確認に長時間を要するのが、常である。

これに手間を取られる、蔓延阻止に機を逸することのないよう、大量羽淘汰の場合の被害額査定の簡略化も検討すべきである。

6.死体の焼却と埋却についてのインセンティブを改善すべき


第21条においても、「高病原性鳥インフルエンザの患畜・疑似患畜」とあるが、これを 4と同じく、高・低病原性にかかわらず、処理できるように改める必要がある。

また、焼却と埋却とを同列視せず、伝搬力によって、その処理の仕方を、明示すべきである。

今回の日本の鳥インフルエンザの処理は、近隣に民家がある場合、養鶏場敷地内での処分鶏大量焼却は困難であるところから、すべて、埋却によっているが、井戸水汚染など、周辺地下水などへの影響など、その処理の仕方を疑問視する向きもある。

焼却は、埋却に比し、滅菌には、完璧であるわけだから、この処理法については、もっと、詳細な規定を設けるべきである。

現在の混在化した養鶏場の立地状況からすれば、焼却・埋却いずれの処理方法にせよ、近隣住民からの苦情・抵抗は必至であり、近隣見舞金についても、59条「焼却又は埋却に要した費用」の中に、明文化すべきである。

埋却・焼却の費用負担については、家畜伝染病予防法第59条「費用の負担」「国は、第21条第1項の規定により焼却し、又は埋却した家畜の死体又は物品の所有者に対し、焼却又は埋却に要した費用の2分の1を交付する。」として、国二分の一、県二分の一の交付があるものの、現在の仕組みのままでは、殺処分やそれに付随する都道府県負担が膨大になってしまう。

これについての、財政的補填措置を考えるべきである。

また、自主淘汰した場合の焼却・埋却費用負担へのインセンティブはゼロである。

「焼却・埋却等互助金」精度として、殺処分又は自主淘汰した家畜を焼却・埋却した費用についての互助金制度も用意すべきときだ。

今の混住化した養鶏場での処分は、移動を前提としない限りは、焼却も、埋却も、近隣住民の理解が得られず、ほとんど、不可能となっている。

移動焼却炉での淘汰鶏の焼却や、近隣の一般ゴミの焼却施設の利用など、ある程度、処理する鶏の移動も考えて、処理の方法を考えないとやっていけない事態となっているのではなかろうか。


7.移動制限損害と、補償問題


5.6とも関係するが、現在の家畜伝染病予防法では、移動制限などで損害を被った農家の補償は明記していない。

現在、BSE後、畜産などについては、民間ベースで、海外悪性伝染病防疫互助事業などの名で、「淘汰互助金」として、法に基づく手当金や家畜共済金がえられる発生農場の患畜・疑似患畜以外を対象として、移動制限地域内で家畜防疫員の指導等により家畜の自主淘汰をしたときに、出される互助金制度をしいているところもある。

また、「導入互助金」として、法に基づき殺処分された家畜又は自主淘汰した家畜を飼養していた農場に新たに家畜を導入したときへの互助金制度もある。

鳥インフルエンザについても、移動制限を受けている家畜の所有者に対する同様の損害補償措置なり、民間補填システムの用意が必要である。

8.毒性のあるなしにかかわらず、H5.H7のサブタイプのA型インフルエンザのすべてをコントロールの対象にするべき


最後に、これは、家畜伝染病予防法における高病原性鳥インフルエンザの定義に関する問題であるが、この法律でもって定義されている高病原性鳥インフルエンザとは、いかなるタイブをさすのであろうか。

また、何ゆえをもって、それを、低病原性鳥インフルエンザに比して、危険とみなしているのであろうか。

先にも述べたように、日本の家畜伝染病予防法においては、3日間で死亡率10%以上、AI分離陽性の場合はHPAI(高病原性鳥インフルエンザ)の患蓄とし、10%以下の死亡率の場合は、亜型を調べ、H5、H7であれば、HPAIの患蓄とするとしている。

OIEが2003年5月18−23日にまとめたTHE USE OF VACCINATION AS AN OPTION FOR THE CONTROL OF AVIAN INFLUENZAという資料においては、高病原性鳥インフルエンザが、H5.H7サブタイプの低病原性鳥インフルエンザを始祖として生まれてきたものである限り、論理的には、鳥インフルエンザのコントロールの対象は、高病原性鳥インフルエンザと低病原性鳥インフルエンザの双方を対象にして行わなければならないとしている。

したがって、毒性のあるなしにかかわらず、H5.H7のサブタイプのA型インフルエンザのすべてをコントロールの対象にするべきだとしている。

ここにおいて、まず対処の仕方として、6つの方法が提示されている。

1.HPAI(高病原性鳥インフルエンザ)/LPAI(低病原性鳥インフルエンザ)であって、発生場所が裏庭であって、家禽産業に拡大しておらず、家禽の集密度稠密度が高くも低くもある場合には、殺処分

2.HPAI/LPAIであって、発生場所が裏庭であって、すでに家禽産業に拡大していて、家禽の集密度稠密度が低い場合には、殺処分

3.HPAI/LPAIであって、発生場所が裏庭であって、すでに家禽産業に拡大していて、家禽の集密度稠密度が高い場合には、ワクチン対応

4.HPAI/LPAIであって、発生場所が家禽産業であって、他の家禽産業に拡大しておらず、家禽の集密度稠密度が高くも低くもある場合には、殺処分

5.HPAI/LPAIであって、発生場所が家禽産業であって、他の家禽産業に拡大しており、家禽の集密度稠密度が低くい場合には、殺処分

6.HPAI/LPAIであって、発生場所が家禽産業であって、他の家禽産業に拡大しており、家禽の集密度稠密度が高い場合には、ワクチン対応

としている。

OIE基準では、HPAI(高病原性鳥インフルエンザ)かLPAI(低病原性鳥インフルエンザ)の判定は、
IVPI(The intravenous pathogenicity index )(静脈内病原性指標) の数値に元ずく。

この指標は、SPFの鶏の静脈に、希釈したウィルスを十日間にわたって24時間に一回、注入し、
その結果を、1.正常、2.病気、3.麻痺、4.死亡 の四分類に分けていくものである。

この場合、スコアリングの手法により、経過日にちごとに、症状ごとのウェイト付けをし、たとえば、正常の場合は、ウエイト0、病気の場合には、ウェイト1、麻痺状態の場合は、ウェイト2、死亡の場合は、ウェイト3を、個体数に掛けて、その総合指数をIVPVとするものである。


上記に掲げる表では、縦軸に、症状、横軸に、経過日ごとの症状の分類を記載していき、表右のトータルの症状ごとの数にウェイトを掛けて、それを合計して、IVPI を算出することになる。

そして、たとえば、IVPI の数値が200-300の場合、高病原性(Highly pathogenic )であり、100 – 200の場合は、低病原性(Intermediate )であり、100以下の場合には、非病原性(Non- pathogenic)であるといった具合に判断するわけである。

この表では、50の検体について、最終五日間で全部が死亡したが、ウェイトゼロの正常な状態が続けば続くほど、IVPI の数値は、低くなり、ウェイトゼロの正常な状態が短いほど、IVPI の数値は、高くなることになる。

なお、このIVPIと同じような手法で、ICPI(Intracerebral pathogenicity index )(大脳内病原性指標) があるが、これは、ニューカッスル病などの劇症判定などに使われている。

このほか、塩基性アミノ酸配列によって、HPAIかLPAIかを判定する方法もあるが、まだ、確とした毒性を持つ配列の定義にまではいたっていない。

ちなみに、H7のサブタイプの 低病原性インフルエンザ・ウィルスの塩基性アミノ酸配列は、-PEIPKGR*GLF- または、 -PENPKGR*GLF-であるのに対して、高病原性鳥インフルエンザ・ウィルスの塩基性アミノ酸配列は、-PEIPKKKKR*GLF-, PETPKRKRKR*GLF-, -PEIPKKREKR*GLF-, -PETPKRRRR*GLF-であるとされる。

これについては、OIE資料http://www.oie.int/downld/AVIAN%20INFLUENZA/MANUAL%20CHAP.pdfの4ページを参照

以上のことから、鳥インフルエンザのコントロールの対象は、H5.H7のサブタイプについては、毒性のあるなしにかかわらず、低病原性鳥インフルエンザについても、高病原性鳥インフルエンザに突然変異しうる有力候補として、コントロールの対象に加えるというのが、出来るだけ早期に蔓延防止対策に踏み切りうる、今日的対応のようである。

HPAI/LPAIについては、ドイツ語サイトではあるが、このサイトhttp://www.vetvir.unizh.ch/Lehre/pdf_files/04_Influenza.pdfのスライドがある。

なお、以下に、1959年から今日までに、世界で発生した高病原性鳥インフルエンザのタイプをDRAFT REPORT OF THE MEETING OF THE OIE AD HOC GROUP ON AVIAN INFLUENZA にもとずき記す。

Primary HPAI virus isolates from poultry* since 1959

1. A/chicken/Scotland/59 (H5N1)
2. A/turkey/England/63 (H7N3)
3. A/turkey/Ontario/7732/66 (H5N9)
4. A/chicken/Victoria/76 (H7N7)
5. A/chicken/Germany/79 (H7N7)
6. A/turkey/England/199/79 (H7N7)
7. A/chicken/Pennsylvania/1370/83 (H5N2)
8. A/turkey/Ireland/1378/83 (H5N8)
9. A/chicken/Victoria/85 (H7N7)
10. A/turkey/England/50-92/91 (H5N1)
11. A/chicken/Victoria/1/92 (H7N3)
12. A/chicken/Queensland/667-6/94 (H7N3)
13. A/chicken/Mexico/8623-607/94 (H5N2)
14. A/chicken/Pakistan/447/94 (H7N3)
15. A/chicken/NSW/97 (H7N4)
16. A/chicken/Hong Kong/97 (H5N1)
17. A/chicken/Italy/330/97 (H5N2)
18. A/turkey/Italy/99 (H7N1)
19. A/chicken/Chile/2002 (H7N3)
20. A/chicken/The Netherlands/2003 (H7N7)

以上に追加して、韓国(2003年、H5N1)、ベトナム(2004年、H5N1)などがあり、2004年にはいり、H5N1亜型の感染がベトナム、タイ、カンボジア、中国、ラオス(H5亜型)、インドネシア(亜型不明)など東アジア各国に拡大し、ベトナムとタイではヒトの死者と感染者が発生した。また台湾では弱毒のH5N2亜型による鳥インフルエンザが発生し、パキスタンでは強毒H7亜型が報告された。
日本においては、山口、大分,京都において、 H5N1が発生した。

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